「娘とWiiで遊びました」羽生善治九段の棋士生活40年のウラ側…父親として、将棋連盟会長としての一面_ランス 対 リール
棋士の羽生善治九段(53)が現会長を務める日本将棋連盟は今月8日で創設100周年を迎えた。生善士生プレーヤーとして第一線で戦いを続けながら、治段昨年から連盟の会長として東京・渋谷の将棋会館に出勤している。の棋棋連将棋に対する思いとともに「今は、活4金曜日になるとホッとするんです」という最近、ラ側長と芽生えたサラリーマンにも似た感覚や、父親父として家庭での様子も明かした。盟会の面(瀬戸 花音)
インタビュー前、娘と0年絵作りのために机の上に置かれた盤上の駒を羽生はちょんちょんと指で整え「よろしくお願いします」。Wiiでましのウとしして対局が始まるわけではないのに、遊びた羽盤を前にすると静かなオーラが立ちこめる。生善士生
約40年、治段ランス 対 リール第一線で戦い続ける棋士である羽生は今になって、サラリーマンに近い感覚も持ち合わせることとなった。
「棋士としての生活って週明けとか、週末とかっていう概念がないんですね。だけど、今は、金曜日になるとホッとするんです」
23年6月、日本将棋連盟の会長に就任。会長は式典でのあいさつの他、棋戦スポンサーや主催関係者との会議などさまざまな業務を任されている。廊下に響く「どうも! よろしくお願いします!」という羽生の声は、もはや将棋会館の日常になっている。
「会長になる前からなんとなくは分かってたつもりですが、百聞は一見にしかず。将棋界に関わっている方は、想像しているよりも、はるかに多かった。今、すごく充実した時間を過ごしています」
組織の世界ではよく人が将棋の駒に例えられるが、実際駒を操ってきた棋士は現実の世界でも、そのスキルは生きるのか。「あんまり生きないですね(笑い)」と首を横に振る。
「リアルの世界っていうのは偶然性も多いし、突然ルールが変わるとか、いろんなことが起こってしまう。将棋の場合は逆にそういういろんなことが整理されて、整然としてるからこそ、生み出すことができる一手とか面白さっていうのもあるだろうと思います」
100周年へ向けた準備の激務の中、7月には王座戦挑戦者決定戦まで進んだ。経歴や実績によって役職が決まるわけでもなく、年齢を重ねても若者たちと同じ戦場で戦いを続けていく世界。それでも羽生は会社員より大変だとは思っていないという。
「もちろん先が見えないという点での大変さはある。でも逆に、曖昧なところで決まらないすがすがしさがあるんです。世の中のものって、なんでこうなるんだって分からないまま結果が出ちゃうケースって結構ある。将棋の世界は基本的にそういうことはほとんどないんで」
96年、羽生は前人未到の全七冠を制覇した。昨年に藤井聡太竜王が八冠を制覇するまで、破られることのない記録だったが本人は「もう歴史上のことですね」とさっぱりと言う。
「あとは、振り返る余裕があまりないかもしれません。その余裕があればとも思います。過去は過去のこととして、もう終わったこととしないと前に進んでいけない。だからいいことも悪いことも、もちろん記憶としてはありますが、脇に置いといて、次に進むっていうことは習慣化しています」
藤井の人柄については「まだまだ分からないことが多い」と、つかみきれていない。自身の若い頃の自由さと、現在の藤井の置かれた状況を比較する。
「私が藤井さんぐらいの頃は、まだネットとかもそんなになかった時代なんで発言とか行動も自由な感じでした。今はもうなんでも発信されてしまうから、そういった意味で(藤井は)大変な面もあると思う。ネットとかSNSがない時代って、多分今の若い世代の人たちに説明しても、全然伝わらないと思います。たぶん江戸時代にちょんまげを結ってたのと同じぐらいの感じで、そこは世代のギャップを結構感じますね」
会長として、次の100年への一歩目を踏み出した。
「100年後に将棋が残っているというのは絶対ではない。だからこそ、これから将棋を残すためにどういうことをやっていくかが問われている。具体的には将棋を見て楽しむ“観る将(みるしょう)”という新しいファン層が生まれてきたので、そういう方々に楽しんでもらえるイベントを今後も考えていきたいとは思っています」
では、棋士としての目標は。
「何をもってゴールっていうかは、基本的にはない。もちろん、長く続けられたら、それはいいことだと思いますけど、じゃあ何歳までやるべきとか、そういうことではない気はしている。この限られた時間の中で棋士としてどういうものが残せるか。その部分をより高めていきたい」
棋士・羽生善治に生活感があまりにじむことはないが、96年には元女優の畠田理恵さんと結婚し、2人の娘をもうけている。記者が長女と同い年だと伝えると「ええ、ええ」と羽生は笑った。家庭ではどのような父なのかを尋ねると「逆に(記者の)お父さんはどんなお父さんですか? 他のお父さんと比べたことがないので(笑い)。でも小さい頃は娘とWii(ウィー)で遊んだりしてましたし、のんびりした普通のお父さんだと思いますよ」と答えが返ってきた。
個人的にタイトル100期に挑戦する姿を見たい。羽生のタイトル挑戦は娘世代の称賛を集め、同世代のサラリーマンたちを勇気づけるだろう。
「同じ年代として、そうやって投影してもらえたら、それはすごいうれしいことで、励みにもなりますし、また次頑張っていこうっていう気持ちにもなりますね」
そうして羽生は「私と同じおじさん世代の人たち、大変な人多いですからね」と目尻にしわを作って笑った。
◆羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ、東京都八王子市育ち。53歳。6歳で将棋を始める。85年、史上3人目の中学生棋士に。96年、史上初の七冠独占。女優の畠田理恵と結婚。97年に長女、99年に次女が誕生。2017年、史上初の永世七冠達成。18年、将棋界初の国民栄誉賞受賞。23年6月、日本将棋連盟の会長に就任。タイトル獲得通算99期。
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